もう20数年前になりますか。最後の犬となったヨークシャーテリアのトムを残して、
動物フリークの母が天国へと旅立ったのは。
私はお葬式に出席し、49日が終わってイギリスに戻る予定で一時帰国しました。
突然母がいなくなって途方にくれるトムが不憫で、
この犬の幸せを死守しなければならないと思いました。
しかし引き取ってくれる人は見つからず、イギリスに連れて戻ろうかとも思ったのですが、
当時のイギリスの動物検疫は非常に厳しく、
6ヶ月以上のオリ暮らしはできれば避けたいと考えておりました。
そんな事情を胸に抱え、時は春、私とトムは毎日サクラ吹雪をあびながら、
近所の公園を徘徊していました。
ある日「そのこ、なんて名前なの?」と大型コリーを連れたおばちゃんが、寄ってきました。
そのおばちゃんが運命の人だとその時は知る由もありません。
自分の犬とトムが仲良く遊ぶのを見ておばちゃんは目を細めています。
おばちゃんの細める目を見つめる。明日私はイギリスへ出発する。
母がなくなって49日目の日。
思い切って事情を話したら、おばちゃんは信じられないことを言ったのです。
「私は普段この公園は通らないんだけど、今日、この子がひっぱってきたのよ。
これも何かのご縁ね。トムは私にまかせなさい」
すごい展開。天国の母よ。唇をわなわな震わせながら空を見上げるワタシ。
トムはそれから死ぬまでおじさんおばさんとコリーと幸せに暮らしました。
トムは甘やかされた犬でした。
私のことは時折どこからともなくあらわれる散歩奴隷と登録していたようで、
散歩が終わると、足のヒラをかえすように冷たくされました。
私が雑種の中型犬が好きなのは、トムの反動だと思います。
それでバタシー・ホームに中型雑種をお願いしますと明るく希望を述べたところ、
「猫とうまくいくのはこれしかないわよっ」と差し出された犬は。。。
![](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhPzkDThk0mK6SfnqpwrX3XnuzioRAs5rjH6CJTQnKSTtiPHyvfd0QMXDJCzhnoTEMAfqb_qPoHBzoluutwXg4R3R3C2HEJH_qWOs9mT5WvrpOSz-vfS0WG8ENOLsLKa_JZo-gEa5pPfD0/s320/DSC_0128.JPG) |
アーチー当時 |
よりによって、たしかふた昔前にサクラ吹雪の中でさようならをした
ヨークシャー・テリアーではありませんかっ!!
そしてそのヨークシャー・テリアー(もどきですが)によって、
今も家の中で 二番煎じあるいは三番煎じとしてランク付けされている私なのでした。